大川の職人とクリエイターが魅せるヒキダシの世界

引き出しの中を見られるのってなんだか恥ずかしい。

たまにしか使わない文房具とか、机の上に置いておくと邪魔な細々としたものとか。大体はそういうものをしまっているけれど、出しっ放しにしておけない思い出の手紙やメモなど、人には見せたくないものも少しだけ隠されていたりする。だから引き出しを覗くとその人のプライベートに踏み込んでしまう気がして、学校とか会社とか無防備に引き出しが並んでいる光景を見ると、ちょっと緊張してしまいます。別にやましいことはないんだけど。笑


秘密基地にも似ているような、プライベートで特別な空間。そんな引き出しをテーマにした展示が代官山T-SITEのGARDEN GALLERYではじまりました。

「大川のヒキダシ展」と題されたこの展示、大川は人の名前でもメーカー名でもなく福岡県にある市の名前。わたしは福岡出身だから知っていたけれど、全国的にはそこまで知られていないのでは。お洒落スポットの代名詞、代官山のT-SITEで大川のイベントが開催されるなんて意外だなと思いつつ足を運んでみました。


大きな窓から陽の光が差し込む会場には、木材の香りが立ち込め、明るく温かい空気が流れている。そして一歩踏み入れただけで、自分がイメージしていた”引き出し展"ではないことに気がつきました。

家具・木工の街として約480年の歴史をもつ大川市、そこの職人たちがクリエイターと手を組んで生まれた”ヒキダシ”は居心地良く、安心感があり、でも内緒にしたい自分だけのとっておきの場所。まさに秘密基地のような作品たちが並んでいました。実際に見て、触れて、香って、そうしないとこの展示の良さはちゃんと伝わらないんだけど、ちょっとだけ雰囲気をおすそ分けします。


小山薫堂とオレンジ・アンド・パートナーズ × 桐里工房

「アイディアを生み出すヒキダシ」


BEAMS JAPANバイヤー 鈴木修司 × 馬場木工

「一週間のコーディネートを考えるヒキダシ」


メイクアップアーティスト イガリシノブ × 木彩工房

「かわいいをつくるヒキダシ」


icciもそうだけど、長い歴史と伝統をもつ地域の職人たちが、その技術と誇りをもって固定概念を超えたモノづくりに挑戦することは、簡単に「クリエイターコラボが実現」とか「クリエイティブな地方創生」といった言葉で表すだけでは伝えきれないものがある。会場で職人たちの声を聞いて、熱い眼差しを見て、改めてそう感じました。新しい価値が世の中に誕生し、伝統が見直されること。そこにかけた職人たちの熱い想いのこもった、本気で新しい表現に挑んだヒキダシたちには、心動かされるものがありました。


故郷への思いも重なり、心の温度がくいっと上がる熱のこもった展示。

3月26日(日)まで開催しているので、ぜひ足を運んでみてください。


異分野の感性を持ったクリエイター、放送作家・小山薫堂と企画プロデュース集団オレンジ・アンド・パートナーズ、BEAMS JAPANバイヤー・鈴木修司、メイクアップアーティスト・イガリシノブの3人が、それぞれの分野での使い手として「本当に欲しいヒキダシ」をテーマにした、全く新しい家具を考案しました。彼らの考える「ヒキダシ」としての使いやすさ・使う楽しさを家具デザイナーが図面化し、大川の家具職人の手によって「全く新しいヒキダシ」が作り上げられました。

さらに、大川職人の「ヒキダシの技」を駆使した「50人のヒキダシ」を制作。様々なジャンルの著名人総勢50名が、普段使い込んでいる物を収納した「ヒキダシの中身」を展示いたします。ヒキダシを開けると、彼らのクリエイティブな頭の中を覗き見するような体験ができます。その他にも、大川職人による様々な作品を多数展示し、大川のヒキダシの魅力を体感いただけます。

【開催概要】

名称:大川のヒキダシ展

会期:2017年3月22日(水)~26日(日)平日11:00-18:00/金土日11:00-19:00

会場:代官山T-SITE GARDEN GALLERY(〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町16-15)

入場料:無料

http://www.okawa-hikidashi.com/

はなえ

福岡県出身の女の子。
好奇心旺盛で熱しやすく飽きっぽい。
直感で生きてすぐ後悔する。
https://www.instagram.com/tanohanae/