ドーナツのようなドリッパー、小鳥のようなサーバー、えんとつ屋根のようなメジャースプーン

実家が喫茶店ということもあって小学生の頃からコーヒーをハンドドリップで淹れる習慣が身についた。大人になった今でもその習慣は変わらず、美味しいコーヒーを毎朝ドリップすることで一日が始まる。そんな僕が何十種類とコーヒー器具を使ってきて、機能、デザイン、フィーリングと全ての要素を考えて、ひとつの結論に至った器具たちを紹介しよう。 


〈ドーナツドリッパー〉 

まずコーヒーをハンドドリップするために必ず必要となるのが、ドリッパーとサーバーだ。ドーナツドリッパーはその名のとおり、ドーナツ型の木製の受け部と逆円錐台形の陶器を組み合わせたドリッパー。コーヒーは豆からいかにして旨味成分を抜き出すか、というとてもシンプルな科学実験のようなもので、その工程は、挽いた粉にお湯を通すだけ、やれることが決まっているので、ひとつひとつの動作や器具がとても重要になってくる。器具の中でもドリッパーは、その構造でほぼコーヒーの味が決まってしまうと言っても大げさではないほど重要。ドーナツドリッパーを開発したTORCHの中林さんのドリッパーの理論はこちらを読めば、そのコダワリがわかると思う。 


 〈 Pitchii(ピッチー)〉 サーバーは、ドリッパーから落ちてくるコーヒーを受けるためだけの器具。Pitchii(ピッチー)は、ハンドルを含めたすべてのパーツがガラスで作られたとてもシンプルなサーバー。どこか小鳥のような印象があるので、ピッチー(小鳥のさえずり)と名付けられたそうだ。僕がこのサーバーを選んだ最大の理由は、分量(cc)を計るためのメモリがプリントされてないところ。では、どうやって分量を計るのかというと、底面から台形に膨らんでいく突き出しの頂点までが、一杯分(200cc)そしてそこから、底面と同じ距離のところが、2杯分(400cc)、サーバーの8分目くらいのところが3杯分(600cc)ということになる。プリントでメモリを付ければ最も簡単に解決できるのだが、形のデザインの中に機能を組み込んだ秀逸なサーバーだ。ドーナツドリッパーだけでなく、どんなドリッパーにも合うので、その時の気分でドリッパーを変えてコーヒーライフを楽しんでいる。


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〈コーヒーメジャーハウス〉 

一杯で約10gのコーヒー豆を計量できるメジャースプーン。小田原の職人さんによる手作りのとても優しいプロダクトだ。立てて置いておくとムーミン谷にありそうな、えんとつ屋根のかわいらしい木製のお家が出来上がる。 


〈ピッチーマグ〉 

ピッチーサーバをそのまま小型化したマグカップ。一人のときは、これをサーバーにして、ドリップし終わったらそのままマグカップとしてコーヒーを飲んでいる。耐熱ガラスなので、夏は氷を入れて、ここに直接濃い目のコーヒーを落とせば簡単にアイスコーヒーを楽しむことができる。


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hirock

アパレルブランド「A BATHING APE®」のグラフィックデザインを経て2011年独立。表現の場を選ばないメディアクリエイターとしてのキャリアをスタート。ファッション誌GRINDでの連載をはじめメディア各方面にてグッドデザインアイテム、最新のガジェットを紹介。著書に『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』。

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