「適当な」とは、辞書で調べると「要求などに、ちょうどよく合うこと。」うっかりするとネガティブな印象に取られてしまいがちだが、この場合は最高の褒め言葉として使っている。プロダクトというのは、日々デザイナーが躍起になってデザインをしているが、そのデザインが最良とは限らない。このペンを見るとデザイナーの苦労は本当に必要なのかと思ってしまう。平べったい透明のアクリルボディーの中に真鍮製の芯が一本入っているだけ。キャップもフックも、ノックするヘッドも付いていない。でもこれで十分だ。メモを取りたいときにパッととる、読みかけの本に挟んでブックマークとして使う、単純な棒だからこそその用途は幅広い。こんな適当なペンが僕のお気に入りだ。
hirock
アパレルブランド「A BATHING APE®」のグラフィックデザインを経て2011年独立。表現の場を選ばないメディアクリエイターとしてのキャリアをスタート。ファッション誌GRINDでの連載をはじめメディア各方面にてグッドデザインアイテム、最新のガジェットを紹介。著書に『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』。
https://twitter.com/h_vb
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