となりの山田くん

界隈で話題になっているジブリの鈴木敏夫さんのインタビューを読んで、慌てて「となりの山田くん」を見た。


高畑さんがやろうとしたことは、娯楽アニメーション映画の枠を完全に越えていたんです。芸術作品を作るのと同じやり方で作ったわけですから、それはいいものができます。絵画における印象派の作品をアニメーションで作ったらこうなる、というのが『山田くん』でした。のちにMoMA(ニューヨーク近代美術館)でジブリ作品の回顧展が行われたときに、担当者が「一本だけ図抜けてすばらしい作品がある。パーマネントコレクションに加えたい」と言ってきたときも驚きませんでした。それだけの態勢を組んで作った作品だったんです。


絶対に見といたほうがいい。冒頭のボブスレーのシーンや巨大なカタツムリに宙に浮くカーペット。こんなシーンがあってもめちゃくちゃにはならずに日本のあたたかい茶の間を描いている。超ほっこり。一見、手抜きかと思われる水彩タッチの作風も芸術的。ストーリーと相まってとても味わい深いものとなっている。日本のアニメってすげーって思っちゃう。デジタル彩色でありながら水彩画のような味わいを目指したため、1コマにつき通常の3倍の作画を必要とし、その総作画枚数は『もののけ姫』の14万4千枚を超える17万枚にまでになっているそう。


この映画を僕のように食わず嫌いするのはもったいない。

かぐや姫ももう一回見よっと。


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hirock

アパレルブランド「A BATHING APE®」のグラフィックデザインを経て2011年独立。表現の場を選ばないメディアクリエイターとしてのキャリアをスタート。ファッション誌GRINDでの連載をはじめメディア各方面にてグッドデザインアイテム、最新のガジェットを紹介。著書に『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』。

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